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AIを活用し、近未来の社会に向けて「自ら語る史料」を残したい!

月額支援型 academist Prize 3rd 採択

菅原薰仁

学習院大学、博士後期課程3年

挑戦期間

2023/09/05 - 2024/08/30

最終活動報告

2024/01/17 15:13:38

活動報告

8回

サポーター

12人

経過時間

2023/09/05 10:00:00

挑戦者の自己紹介

菅原薰仁

菅原薰仁(すがはら・ゆきひと)と申します。

私の名である「薰仁」は「仁を薫陶するように」と名付けられたものです。

自身の名前と常に向き合い、「仁」とは何かを考えているうちに、いつの間にか思想史研究の世界に足を踏み入れていました。

私が北一輝という思想家と向き合い始めて早10年ほどの月日が経ちます。

毀誉褒貶激しい北研究史を初めて見た時に、「もし、人が誤解されて悪く言われているのだとしたら放っておけない。実のところどうなんだろう」と思ってしまったことが、研究を始めたパーソナルな部分の理由です。

零れ落ちやすい「個人の記憶」を掬い上げたいという気持ちが強いのも、名に由来するところが大きいと思われます。

あなたが研究を通して成し遂げたいことはなんですか?

「青春・朱夏・白秋・玄冬」と季節が巡るように、時の彩りは移り変わる。これまで「ブーム」と「冬の時代」を繰り返してきたAIの歴史は、ChatGPTの出現によって「新しい時代」に入ったという。

「役に立たない学問」として時に揶揄される歴史学の中で、人々の記憶を「枯れ葉を拾う」ように掬い上げる個人史は、今まさに朱夏の時期にあるAI研究の“横”で、玄冬の時を過ごしている。

「僕たちが置き去りにしてきた分だけ、僕たちの旅は貧しく、世界は見えないままでいる」と、ある学者は語った。

「夏落葉」という言葉がある。常緑樹では春から夏の時期に古葉が潔く落ちていき、新葉が入れ替わるように勢いよく萌えていく。

夏にも葉は落ち、枯れるのである。

――AIと歴史学が互いに手を取り、共に旅をすることは出来ないか。

「夏落葉」と「枯れ葉」の2つの音に耳を傾けることで人々はより豊饒な旅が出来るようになるのではないか。

このような思いから、記憶を伝えるAIの作成を行い、「自ら語る史料」という形で多様な歴史語りを複線的に残すことを試みます。

本研究は、近未来の社会に史料を残すだけでなく、人々の死生観にも影響を与え得るものと考えています。

どのようなプロセスで実現しようとしていますか?

「自ら語る史料」とは、ご本人様の画像・音声情報を使用して語る姿を再現しながら、実際の記憶を対話可能な形で語り継ぐことを可能にする史料です。

歴史学の理論は対象が「過ぎ去っている/死んでいる」ことを前提として構築されています。「事実/データ/史料」をして語らしめよという言葉がありますが、「記憶を語り継ぐAI」という形で「生きたプログラム」を史料として残してみたら、近未来の歴史学のあり方を少しだけ拡張出来ないだろうかと考えました。

その実現のために「1. 記憶の聞き取り先の選定→ 2. 先方との折衝→ 3. 著作権に抵触しない形でAIに読み込ませる独自のデータセットを作成する」というプロセスで、AIの実動の準備を行います。

着想の契機は、人とAIの合作で学術論文をアート化して展示する「ロンブンアートストリート」に参加し、歴史実践活動を行ったことです。このプログラムで、私の論文はトリックアートとして表現されました(※右斜め上/下から覗き込むことで2つの文字が浮かぶ)。

普段学術に触れていない方からご感想をいただくといった予想外の反響を目にした時、より伝わりやすい形で複線的に未来に語り継ぐことの重要性を意識しました。

現在取り組んでいる研究課題はなんですか?

「自ら語る史料」を作成するために、私が直近で取り組んでいる研究活動は2つあります。

1つ目は、戦争体験などの「語り継ぐべき個人の記憶」について聞き取り調査を行い、自作の史料として残すことです。この活動を進めることで、「自ら語る史料」の作成のためにAIに読み込ませる著作権等の問題をクリアしたデータセットを作る準備が整います。

そして、それと並行して、一般の方々にも見やすい複線的な形で史料を残す活動に取り組んでいます。権利上の問題・倫理上の問題をクリアすることを前提に置きながら、今後は、(a)生成AIが作成したそのままの作品、(b)人間の倫理観を学習させた生成AIの作品、(c)人間が修正を加えた作品の3つを連ねてアート化し、ビジュアルに比較可能な形で展示することが出来ればと思っています。

2つ目の活動は、独自のデータセットを学習させた「ある個人をモデルとする対話可能なAI」を作成することです。こちらの活動では、「自ら語る史料」の実装の前段階として「AIフレンド」を経営するウイグル人技術者の剣地ユセフさんと連携し、その技術を活用しながら歴史的人物等をモデルにしたAIを作成できないか探っています。

なぜacademistに挑戦していますか?

私は歴史学・思想史を専門とし、特に北一輝という思想家を研究してきましたが、これまでの自分の活動を振り返ったときに大きな後悔が1つあります。それは、北一輝に関する渡辺京二さんのオーラル史料を残せなかったことです。

2022年12月25日にご逝去されたことを聞き、「今、この瞬間にも零れ落ちている個人の記憶がある、史料に残さないとただ消えていく」という事実と向き合った時、様々な個人の記憶を消える前に掬い上げ、未来の人々が少しでも参照できるようにしたい!と強く思いました。それが今回のプロジェクトを考えるに至った根幹にある動機です。

また、今回の取り組みを通して「未来の歴史学を少しでも良くしていきたい」と考えています。社会とアカデミズムを繋ぐ複線的な道を開拓し、それを伝えていくことで、将来的には若手研究者問題(≒大学院重点化政策以後に顕著な、アカデミック・ポストの固定・減少による不安定雇用と競争過多)」への対応という課題にも寄与したいです。

下のイラストは、人とAIの合作でプロジェクトの内容を表現したものです。
私の研究活動の世界観に共感できる皆様との新たな出会いがあることを、心よりお待ちしております!

推薦者コメント

田口善弘
中央大学 理工学部 物理学科 教授

昨年(2022)年11月に公開されたChatGPTは、人間のようにやり取り可能なことが一般の方々にも認知されたことで社会に衝撃をもって迎えられました。ChatGPTには「間違いを言うこと(ハルシネーション)」が課題の1つとしてありますが、このプロジェクトは歴史学に限ったやりとりに限定することでハルシネーションの無いAI人格を目指すものです。成功すれば歴史の証言を「生の声で」聞くことができるようになるでしょう。大いに期待しています。

生塩研一
近畿大学医学部 講師

AIでパーソナリティの全てを再現することは難しいとしても、記憶の一部を語り継ぐのは可能です。語り継ぐべき大切な情報をもつご本人の自己決定で構築していく本活動は、「自己情報コントロール権」の議論まで射程に入れることが出来ます。史料が語る事実の真偽性についての判断は歴史家が担う大切な役割の一つですが、史料として有るという事実自体は常に真なるものです。多彩な領域にかかわる挑戦者の研究が明るい未来を切り拓いていくことを期待しています。

研究計画

時期 計画
2023年9月 月額支援型クラウドファンディング開始
2023年9月~ 聞き取り調査とデータセットの随時作成の開始
2023年11月~ 学会・研究会・論文での研究成果の発表(時期を問わず、成果がまとまり次第、適宜発表していく)
2023年12月~ 「自ら記憶を語るAI」の実装
2024年7月~8月 生成AIによる研究成果のアート化とその展示
2024年9月 月額支援型クラウドファンディング終了

リターンの説明

330 円/月 (税込)

注目のリターン : 活動報告閲覧権

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10人が支援しています。

(数量制限なし)

1,100 円/月 (税込)

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3,300 円/月 (税込)

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